大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

京都家庭裁判所 昭和55年(少)4868号 決定 1980年11月10日

少年 G・K(昭四〇・九・一九生)

主文

少年を初等少年院に送致する。

理由

(非行事実)

本件記録中の少年に関する司法警察員作成に係る

(イ)  昭和五五年一〇月八日付少年事件送致書

(ロ)  同月二一日付追送致書

記載の各犯罪事実と同一であるから、ここにこれらを引用する。

(適用すべき法令)

上記(イ)の事実につき     刑法二四〇条、六〇条

同(ロ)の(一)の事実につき  暴力行為等処罰に関する法律一条、刑法二〇四条、六〇条

同(ロ)の(二)の事実につき  刑法二三五条、六〇条

(初等少年院に送致する理由)

少年は、字治市立○○中学校の三年に在籍するものであるが、同校一年の頃より万引き、侵入盗、喫煙、異性交遊などの問題行動が多く、二年の時同校内の問題生徒数十名がグループを結成(グループ名を「○△」と名付けていた)した際積極的にこれに加わり、以後同グループの一員として学則違反、教師反抗、家出、集団示威、盗み、暴力行為等の問題行動を学校の内外にわたつて累行しながら今日に至つているものであり、本件もその一部である。

少年は、準普通域の知能で気分の明るい外向性の性格で活動性が非常に高く、感情が不安定で短期で粗雑であり、顕示性が強く、社会性が未成熟で道徳的判断力に劣るものと認められる。

少年の家庭は両親健在であり、両親とも少年に対する善導意欲も充分有しているが、少年に対する指導方針が統一されておらず一貫性を欠いているのが難点である。

以上を総合すれば、少年の建全な育成を期するためには少年の初等少年院に送致して不良交遊を絶ち、矯正教育により規範意識、自己統制力等の伸長を図るとともに学業を習得させることが相当である。

よつて、少年法二四条一項三号、少年審判規則三七条一項、少年院法二条二項により、主文のとおり決定する。

(裁判官 北村史雄)

処遇勧告書<省略>

〔参考一〕司法警察員作成の少年事件送致書及び追送致書記載の各犯罪事実

一 被疑少年A、同B、同G・Kは被疑少年C十四歳位、D十四歳位と共謀のうえ昭和五十五年九月七日午後四時四十五分ころ、京都府宇治市○○町○○××番地、○○店で買物中のF十四歳、G十四歳、H十四歳から金品を強取することを企て、右三名らを右同店屋上と四階の申間にある便所に連れ込み同所において、こもごも「金を出せわかつてるやろ」等と脅迫し、さらに同人等の顔面ならびに腹部を手挙で殴打し、あるいは足蹴りするなどしてその反抗を抑圧したうえ、F所有の現金五百四十円在中の小銭入れ売ケ雨傘壱本、G所有の現金壱千二十円在中の小銭入れ壱ケを強取し、右暴行によりFに対し顔面打撲全治三日間、Gに対して下口唇部挫創全治五日間の傷害を負わせたものである。

二 (一) 被疑少年A、同B、同G・K、同C、同Dは被疑少年E十五歳他十一名位とともに被害少年○△中学校三年生H十五歳、同I十五歳、同J十四歳、同K十五歳等が「○○中学校の者に金をとられた」などと事実のない話を他校生らに洩らしていることなどに立腹し、同人等に暴力を加えることを謀議し、昭和五十五年十月一日午後四時三十分ごろ右被害少年四名を京都府字治市○○町○○××番地の×先○○バイパス地下道付近に呼び出し、同所において同人等を取り囲み「メンを切つたやろ」等と申し向けたうえ矢庭に集団で襲いかかり、こもごも殴る蹴るなどし、もつて数人共同して暴力を加えよつて、Hに対し、外傷による歯牙破折および顔面打撲背部挫傷七日間の通院加療、Iに対し頭部外傷第一型、顔面打撲四日間の通院加療、Kに対し頭部外傷第一型、背部打撲二日間の通院加療、Jに対し頭部外傷第一型、顔面打撲右第八肋骨々折二十八日間の通院加療を要する傷害を与えたものである。

(二) 被疑少年G・Kは被疑少年E十五歳と共謀して昭和五十五年九月十四日午後七時三十分ごろ京都府字治市○△××番地の×L方玄関前付近において、同所に駐車中の右L二十二歳所有の第一種原動機付自転車(ヤマハパッソル白色登録番号字治市○××号)壱台時価参万円相当を窃取したものである。

鑑別結果通知書<省略>

〔参考二〕少年調査票<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例